2011年11月13日日曜日

2012年度の世界大会

先日ポーランドにてCIVAミーティングが行われました。選手権の開催地、飛行するプログラム、ルールの改訂等、重要な議決がなされる会議です。日本からは、鐘尾さんが参加してくださいました。

開催地・開催場所
http://www.fai.org/civa-news/35284-main-decisions-taken-at-the-fai-aerobatics-commission-2011-annual-meeting

グライダーは、8月9〜18日、スロバキアで開催されます。
パワーのアンリミテッドは9月1〜9、同じくスロバキアで。
パワーのアドバンスドは、7月26〜8月5日、ハンガリー。


規定課目
http://www.fai.org/civa-news/35321-civa-chooses-known-compulsory-sequences-for-2012

自分に関係ありそうなものをいくつか載せてみます。
グライダーのアンリミテッド

気持ちが悪いほど易しい課目が並んでいます。昨年度の反省かもしれません。課目が易しいということは、選手全員がそこそこ飛べるということです。皆が出来ることを、いかにより正確にやってのけるか。微妙な違いで点数差がつき、何が違ったのかを皆で考え、今後の練習課題とする。良い勉強になりそうです。
Fig. 6のループwith4ポイントロールは、しっかり練習する必要がありそうです。丸くするのが難しいので、地上から見てもらいながらの練習が必須です。



パワーのアドバンスド

どこでどんな形で飛ぶかわかりませんが、たぶんエクストラ系の飛行機で飛ぶとは思います。楽しみです。課題は、2・3・7のスナップで軸を通すことと、加速しながらのローリングサークル(5)でしょうか。高度管理は、飛んでデータを貯めるしかありません。


グライダーのアドバンスド

酒井さんが飛びます。アンリミテッドよりも難しい(減点しやすい)んじゃないかと思いますが・・・。ロールが多いためスイフトに有利な課目構成ですが、それをFOXでどう攻めるか・・・

そろそろ、来年の訓練を考えなければいけません。
グライダーに関して、私は例年通りSolo-Foxに乗ると思いますが、酒井さんはポーランドの複座Foxに乗れるかどうか謎です。ポーランド人が「いいよ」と言ったとしても、実際行ってみるとダメなことは日常であり、慎重に考えていかなければいけません。他の受け入れ先としては、今のところイギリスが最有力候補です。国内選手権出場も検討していきます。
パワーに関して。国内か国外か、どちらで訓練できるかはわかりませんが、競技経歴を充当するためには結局のところ外国の大会にでなければいけません。おそらくイギリスへ行くことでしょう。ライセンスのこと、訓練環境のこと、大会の開催地と使用機材のこと、いろいろ考えることは多いです。

2011年11月12日土曜日

全日本曲技飛行競技会

先の大会から一ヶ月が過ぎました。私は未だにあの熱気を忘れることができません。

「全日本曲技飛行競技会」http://teamdeepblues.jp/championship/about.html

三年前より開催されている、動力機曲技の国内大会です。開催次期は、例年10月の初旬。私は昨年度からジャッジとして参加させていただいています。


国際大会への選手選抜を行なうことが、国内大会の本来の役割です。しかし、そのような大会が開催されるためには、相応の技量を持った選手、そしてそれを評価できるジャッジ、そしてnational aero clubからの認定が必要です。この競技会は、現段階ではまだそのような位置づけにはありません。

しかし、今の勢いを見るに、かなり近い将来、正式な大会へと発展するものと思われます。 勢いというのは現場にいてこそ感じられるものです。集まった人々の意志が躍動し、何かを目指してうごめいている様は、まさに壮観というほかありません。



大会前には、チーフジャッジである高木さん(写真左)を講師としたジャッジスクールが行われます。曲技の初歩から採点のポイントまで幅広く教えていただくことができますので、未経験でも安心です。現に、写真右のMさんは、今回が始めての曲技競技会であるにもかかわらず、しっかりとアシスタントジャッジの役をやり遂げられました。


今年はプライマリーとスポーツマンのみの実施でしたが、来年からはインターミディエイトが、そしていずれはアドバンスド、アンリミテッドクラスまで実施されることと思います。ただ、そういった未来を迎えるにあたって、ジャッジが不足しています。簡単な課目であれば、ジャッジングも比較的容易です。しかし複雑な課目になればなるほど、それを正確に減点することは難しくなってきます。私など、スポーツマンまでしかジャッジの経験はありませんし自信もありません。ジャッジの養成は、ある意味競技者の養成以上に難しい課題かもしれません。だれも、ジャッジをやりたくてアクロを志すわけではないからです。


毎日朝、ブリーフィングが行われます。国際大会以上にしっかりとオーガナイズされており、なにもかもスムーズに進んでいきます。日本らしい大会です。ポーランドのグダグダ進行に慣れてしまった身としては、ただただ凄いなあと思って見ていました。


使用された競技機は、スーパーデカスロン(上)とFA-200(下)。


どちらも、難しそうな飛行機です。見てわかるように、サイティングデバイス(姿勢を判断するための棒)は存在しませんし、性能限界の低い機体だと聞いています。しかし選手の方々は皆、非常に良いフライトをされました。高得点の接戦となったのは、ジャッジが甘かったからではないと信じています。


大接戦の結果優勝したのは、ディープブルースの芦田さん。最終日の前日、遅くまで議論に付き合っていただいてしまい、少し心配だったのですが、見事逆転優勝。おめでとうございます!

待機エリアの向こうを見据えるチーフジャッジ。彼の目にはどんな未来が見えているのだろうか・・・

たくさんの曲技愛好家の方々が、いろいろな活動を行っています。それらの情報をひとつところに集め、曲技をより開かれたスポーツにしていく。そのようなことも、この大会の役割かもしれません。現に私は、昨年の大会を通じて高木さんとお会いしたことが動力アクロを始める1つのきっかけとなりましたし、今年の大会でも素晴らしい話をいただくことができました。身の回りでも、たくさんの良い出会いがあったようです。来年は出場するぞ!・・・そんな声も聞こえてきました。

曲技飛行はマイナーかつ難しい活動ですので、各人の状況に応じた出会いが非常に重要になってきます。良い出会いさえあれば、状況は飛躍的に変わります。出会いがなければ、そのまま停滞するだけです。パイロット同士が出会い、最良の発展を行なうための場としての競技会。素晴らしいと思います。

さて、来年はどれほど状況が変わっているのでしょうか。頑張っているみんなを見ていると、いろいろなことが大きく動いていくような気配を感じます。私も自分にできることをしっかりやって、発展の一端を担えるよう、地道に頑張っていこうと思います。

2011年8月18日木曜日

新世代





訓練中の酒井さん(前席)。ポズナニ上空にて。
ポーランドナショナルチームメンバー、トメック氏(後席)撮影。


酒井さんが富士川飛行場を訪れたのは3年ほど前でしょうか? ともかく我々はそこで出会いました。飛行の力学に自覚的であるという性格が共鳴したのでしょう、私たちはすぐに意気投合し、板倉でFOXの後席に乗ってもらうことになりました。後席でいきなり無制限アクロを食らい(私が馬鹿でした)目から出血してしまった酒井さんでしたが、残念ながらもうすでに曲技飛行に取り憑かれてしまいました。曲技機の運動性とその奥深さ、そして何より競技飛行特有の挑戦と向上に、魅力を感じていただけたようです。早速皆で訓練の検討を始めました。




競技者になるためには、最終的にはヨーロッパで訓練をつまなければいけません。しかし、世界選手権レベルの曲技となると、商業的なスクールで習うことはほぼ不可能です。その代わり、競技者たちが仲間内で行っているトレーニングキャンプに参加し、全くの好意に依存して弟子入りを受け入れてもらわなければいけません(2011年現在では若干状況が変わっており、相互に具体的利益のある訓練委託が可能となっています)。したがって、訓練したいと思ったとしても、どうしてもその実現までには時間がかかってしまうのが現状です。

去年フィンランド大会の際、私はマクラ氏に、酒井さんの訓練を受け入れてもらうよう頼み込み、快諾を得ました。しかし、さすがに完全未経験の状態では教える側も困ってしまいますし、効率も悪い。そのためSさんは、毎月1度は板倉に通い、S. Reiko教官指導の元20フライトほどの訓練飛行を行いました。

一年が経過した今、ついに酒井さんはポーランドへ渡航し、訓練が始まりました。
上手く訓練が進めば、来年の日本チームは2名。各国の友人達から歓迎を受けることでしょう。
これでもう、日本は孤独な後進国ではありません。
向上こそが我々を生かします。




2011年8月9日火曜日

14th FAI World Glider Aerobatic Championship参加報告



(これは、第14回世界滑空機曲技選手権への参加報告を若干改変し、転載したものです。写真は適当につけただけなので文の流れとはあまり関係ありません。)



ポーランドの古都、トルンにて行われました世界選手権より本日帰国いたしました。以下、大会ウェブサイト。http://www.wagac2011.com/index.php?option=com_content&view=article&id=57&Itemid=1&lang=en

本大会は私にとって4度目の世界大会出場となります。これまでの大会では、どうしても3分の1以下の順位から抜け出すことが出来ず、常に練習方法を模索しつづけてきました。今年度は、 前年までの反省を踏まえ、以下のとおり2つの訓練目標を掲げました。一つは、グライダーよりも 姿勢変化のインターバルの大きい動力機を用いて徹底的に訓練することにより、各個の姿勢とそ の変換における正確さ/明瞭さを身につけること、もう一つは、大会直前に大会で使用する機体 を用いて200発以上の飛行を行うこと、この2つです。


まず、今年の4月から5月にかけて、アメリカ・リバモア空港において、高木雄一教官指導の元、ピ ッツ S-2C を用いてインターミディエイトクラスの飛行を習得しました。40時間ほどの訓練飛行を行 った後、IAC の地方大会に出場しアンノウン競技で2位を獲得するなど、実り多い訓練となりまし た。 その後、6月下旬よりポーランドに渡航し、Solo-Foxを用いて1ヶ月ほどの集中訓練を行 いました。しかし、度重なる曳航機の故障、連日の悪天候などで、目標として掲げた200発には遠く及ばない60発程度の訓練飛行しかできませんでした。日本で鐘尾みや子さん 所有の複座 FOX を使用させていただき実施した訓練を含めても、100発にも達しておらず、焦りが募るばかりでした。しかし、7月下旬に出場したポーランドの国内選手権において、ノ ウン競技で2位を獲得することができ、そ れなりに訓練成果の存在を確認すること ができました。


7月26日より世界選手権は開幕しましたが、それから4日間悪天候が続き、飛行は行われません でした。アドバンスドの世界選手権と同時開催ということもあり、参加人数が多数であるため、大 会の成功が危ぶまれました。しかし選手権開幕から5日目、だんだんと天候が改善され、ようやく 飛行を開始することができました。


ノウンプログラムの飛行を終えた段階で、多くの競技者仲間より私の飛行の進歩を指摘されたこともあり、今年度の訓練成果をはっきりと確認することができました。最終的にはアンノウン2まで飛行す ることができ、悪天のわりにはそれなりに充実した選手権となりました。


最終順位としては9位、飛行順位におけるカテゴリー1(上位3分の1以上)に配分されるなど、例 年の大会における結果と比較すると明らかに向上がみられました。結果は以下のページがら確認できます。
概ね、上位から3分の2が中 堅どころ、3分の1が表彰台候補として考えられています。技量向上における最初の大きな壁を破ったとの手応えを感じています。



 本選手権において、私の師匠であるポーランド人のイージー・マクラ氏(下写真左) が優勝となりました。

彼は、以前6回優勝し たこともあり、生きる伝説とも呼ばれる人物 なのですが、近年多忙により訓練回数が激 減したこともあり順位は低迷しつづけており ました。しかし今年度より若干の訓練環境 の改善が見られ、見事優勝となりました。 


ポーランドは、今年3名の若手新人をアド バンスドクラスへ輩出し、アンリミテッドの国 別ランキングでも優勝するなど、しばらく続 いた低迷を脱し以前の勢いを取り戻しつつあります。



現在ヨーロッパは様々な制度の改変が行わ れ飛行に関しても錯綜を極める状況が多々ありますが、それでもこの初速を無駄にしないよう、今 後も良好なパートナーシップをもってポーランド、日本、両チームの互恵的発展を築きあげていき たいと思っております。


本年度の動力機訓練による技量の向上をうけ、来年度も同様の訓練を重ねてさらなる向上を目指します。具体的な訓練地は未だ模索中ですが、おそらくイギリスで Extra200 を用いた動力機訓 練を徹底的に行い、アドバンスドレベル以上の国内大会への出場を目指します。その後、再びポ ーランドにおいて200発以上、Solo-Fox を用いて飛行を行うことを目標としトレーニングキャンプ を計画します。




現時点において、滑空機曲技の日本人選手は私一人だけです。私はこの状況を打破したいと考えています。


 そのため、昨年度より新人獲得へ向けた勧誘を行うと同時に、新人養成をヨーロッパで行うため の委託先を検討してまいりました。その結果、複数の競技者候補を見出すことができ、また良好な 関係にあるユーロッパ各国から受け入れ訓練の了承をいただくことができ、今後の新人養成にも光が見えてきました。




数年後には日本選手団と呼べるものを形成したいと考えています。日本は、 ヨーロッパ各国に比べると、文化、地理、勤務体系等、様々な面において圧倒的に不利な状況に あることは否めません。しかし、それを乗り越えるだけの能力をもった人材を集め、相互に指導し 合える競技者集団を形成することにより、日本の、そして世界の技量水準を引き上げることを目標 として活動していきたいと考えております。



また、上記の通り動力機曲技と滑空機曲技における技量の互換性が明らかに認められました。こ れからの新人養成に向けて、動力/滑空双方の垣根を取り払うことが必要と考えています。各人 の状況やニーズに適合した競技者人生を効率的に歩むことができるよう、私の集めた情報や開 拓したルートは全て公開し、競技志望者のサポートを具体的に実行していきたいと考えています。 私自身についても、今後動力と滑空双方の世界大会に出場できるよう、努力を重ねてまいりま す。


他の写真はウェブアルバムへ・・・https://picasaweb.google.com/102625198110725059547/Poland2011

2011年7月21日木曜日

ポーランドに来ています。

毎年世界選手権は7月から8月に行われます。なので、この時期はヨーロッパ各地でトレーニングキャンプ、そして国内選手権が相次いで開催されています。私は例年、ポーランドをベースとして訓練を行っているため、だいたいこの時期はポーランドで過ごしています。
理想的には、選手権前に数週間かけて200フライトほどの訓練を行い、国内選手権に参加し、少し休んで世界選手権出場、という流れが良い結果を生むとされています。しかし、たくさん飛ぶことは、そう簡単なことではありません。資金、休日、天気、機材、人材、場所、全ての条件が長期間にわたって整わなければ、それは成し遂げられないのです。


私は200フライトを可能にすべく。選手権前に一ヶ月ほどの滞在を計画しました。しかし天候、機材等の都合により、なかなか思うように訓練することはできませんでした。




当初、ポズナニ飛行クラブ(http://aeroklub.poznan.pl/)での訓練を予定していました。昨年までベースとしていたリブニックの飛行クラブ(http://www.aeroklub.rybnik.pl/)から移転した形になります。

しかし、相次ぐ曳航機の故障。



暇、暇、暇、

時間を持て余し、選手同士で愚痴を言い合う日々。

このような生殺しの生活の中で、皆の精神はだんだんと荒廃していきました。





ポズナニにいても飛べないことがいよいよ明白となり、予定より早くトルン(ポモルスキ飛行クラブ:http://www.aeroklub.torun.pl/)へ移動しました。ポーランド選手権、そして世界選手権の開催地です。



待ちに待った飛行訓練。






























この写真は、ポーランドのナショナルチームメンバーであるカーシャの訓練フライトに同乗させて頂き、撮影したものです。






























カーシャは、正式には今年の4月からアクロを始めました。現時点でのアクロフライトの総回数は、せいぜい50発程度でしょうか。それでも、アドバンスドクラスの科目を十分に飛びこなしていますし、来年からはおそらくアンリミテッドを飛ぶことでしょう。






























曲技飛行は高等技術なので相当の経験が必要・・・Gがキツいので体が強くなければ・・・特殊な3次元把握能力がなければ・・・。











































いくらでも、曲技飛行を難しいものとして、危険な高等技術として語ることはできます。しかしそのような素朴理論は、カーシャのような若手の台頭によって容易に反駁されます。








































































曲技飛行は、どこか遠くにあるものではない。





























撮影に協力していただいたカーシャ、プシャメック、ありがとうございました。
今年のポーランドチームには、20代前半の若手が4人。この国の今後が楽しみです。

他の写真はこちら→https://picasaweb.google.com/flickloop/Poland2011

2011年5月24日火曜日

日本におけるグライダーアクロの現状

周知のとおり、現在(2011年5月)日本におけるグライダーアクロ競技者数は一名。つまり私一人です。来年度の世界大会へ向けて訓練中のSさんを入れても2名。なぜこのように寂しい状況にあるのか、私にはわかりません。

グライダーアクロというと地味な印象があるのでしょうか?しかし実際に操縦した感覚は、パワー機のそれと同等です。プラスマイナス両端限界いっぱいに振りきれるGメーター、誰もが驚くロールレート、パワーアクロよりもめまぐるしく変化する姿勢、なにより、グライダーに特有の機体との一体感、空気を両腕に掴み引き剥がす感触、自身が速度エネルギーそのものと化す瞬間の心地良さ・・・いや、こんなことを列挙しても始まらないでしょう。飛行感覚は、飛行者にのみ帰属します。
































しかし、グライダーアクロを始めるために必要な社会的環境について記述することは無駄ではありません。実際に今、その環境は劇的に発展しつつあります。

まず、飛べる機体の存在。グライダーアクロを練習するためには、専用の競技機が必要です。ASK-21やプハッチなど、比較的ポピュラーな練習機でも、基礎的なアクロを行うことはできます。しかし、世界標準である無制限クラスの飛行を行うためには、MDM-1 FoxないしはSwiftといった機体が必要です。

昨年3月、無制限曲技専用機であるMDM-1 Foxが板倉滑空場にてロールアウトしました。購入/所有者は鐘尾みや子さん、日本のアクロ界の草分け的存在の一人であり、私自身の恩人でもあります。
































鐘尾さんは、日本のグライダーアクロを発展させたい、ただそれだけのためにこのFoxを導入されました。我々はこのFoxに乗せていただき、たくさんの訓練を行うことができました。その間、鐘尾さん自身は機体の管理者に徹し、決して自身のフライトを行われることはありませんでした。我々は、鐘尾さんの意志の上で成長する鉱物のような存在でした。

鐘尾さんはまた、グライダーアクロの正式なジャッジでもあります。曲技飛行の練習にとって、地上からのジャッジングがいかに重要か・・・各国のトップ選手が口を揃えて言うことでもありますし、地上のジャッジこそが曲技飛行競技の採点者であるという事実からも、自然と理解できることでしょう。私は板倉滑空場で、鐘尾さんのジャッジングの受け、飛行における改善点を多数見出すことができました。

また、Foxは一人で組み立て、運用することができません。高度な専門知識を持ち、技能を有する人が数名そろって初めて運用することができます。私はこれまで数えきれないほどの日数、板倉滑空場で訓練を行って来ました。その訓練を欠くことなく支えてくれたのが、教官のSさん、整備士のNさんです。解散したRedFoxチームからの縁で、これまでずっとサポートしていただきました。


さらに、曲技飛行を行うためには、それを行う空域や、離陸する滑空場が必要です。ただでさえ危険行為とみなされてしまいがちな曲技飛行、練習場所の確保は往々にして最も困難な課題の一つとなります。鐘尾さんを始め先輩方は、これまで板倉滑空場において曲技飛行を行う基盤を築いてこられました。1200mから3分足らずで降下する曲技飛行ですが、現在では板倉滑空場における運航の一部として認めていただいています。
































機体が存在し、ジャッジが常駐し、サポートしていただける方々にも恵まれ、飛べる場所もある。となると、足りないものは何でしょうか。共に高め合う競技者仲間にほかなりません。共に第一線で飛行し、トップ選手の技量レベルを知り、それの実現へと向けてお互いを評価しあう、そのようなチームが成立してこそ、国内での最良のトレーニングが可能となります。

私はそのようなチームの実現へ向けて、新人教育のためのルート作りを行っています。もちろん日本でも、今後新人教育が行われる予定はあります。しかし飛行回数・密度・技能の観点から見て、世界標準の技術を習得するためには、海外のトップ選手に師事した上での総仕上げを行う必要があるでしょう。今後、世界各国の競技者仲間たちの力を借りて、日本チーム発展の機会をオーガナイズしていきたいと考えています。現に今年、Sさんという方(社長でも医者でも弁護士でもありません。普通の会社員をされている方です)が国内で訓練を始められ、この夏にポーランドへ渡航し、集中訓練を行います。技量が充当できれば、来年は世界選手権へ参戦する予定です。

































未来の競技者へ向けて情報を発信し、曲技飛行競技の門戸を開放すること、これが本ブログの役割です。ここに記述した内容が少しでも、皆様の夢への指標となることを望みます。

2011年5月19日木曜日

富士川飛行場のこと

このブログの趣旨からは外れますが、富士川飛行場のことを少し書きます。

静岡県航空協会富士川飛行場(http://www7a.biglobe.ne.jp/~fujikawa/fujikawa/main.html

私は大学3年生だった7年前、この飛行場、静岡県航空協会に仲間入りしました。そして、一から飛び方を教わり、指定養成に入所する形でライセンス(グライダー)を取得しました。
































カナダで飛行機のライセンスを取得した後は、曳航パイロットとしても育てていただきました。尾輪式の操縦という特技を活かして協会の活動に貢献できたことは、私にとって大きな喜びでした。毎週日曜日、富士川でパイパー・スーパーカブに乗り、皆と談笑することが、私の生活に心地良いリズムを刻んでいました。































ポーランドで危険な目にあったり、世界大会でいろいろな国を飛び回っていても、帰るべき飛行場があるということに、なんとも言えない安心感を感じていました。































しかし、明日から札幌へ転勤。もう、この日常は終わりました。
先日、記念にと思いたくさんの写真を撮ったり、撮ってもらったりしたので、その一部をここに公開しておきます。
静岡近郊に住んでいる方は、ぜひ一度富士川飛行場を訪れてみてください。きっと、気に入ってもらえると思います。





























































































































他にもたくさんあります。
https://picasaweb.google.com/flickloop/FujikawaAirfield#