2013年12月4日水曜日

空まつり2013 in SEKIYADO NODA

一度天候のために延期になってしまった空まつり、23日に無事行なうことができました。関宿滑空場は土の質が悪く、一度水が上がってしまうとしばらく引かないようで、それをなんとかするために関係者の皆さんが泥だらけになって作業してくれて、なんとか水が引いたというような状況だったようです。飛ぶということは、どんなときでも地上での努力に支えられてのみ成り立つ行為です。本当に頭が下がります。
(写真は全て山康博氏撮影)

今回のショーは、RedFoxの今後にとって、とても重要なものとなりました。今までのRedFoxエアショーは、とりあえず飛んで、飛行中だけ音楽をかけ、その場に合わせた解説を行う、という演出のみでした。でも今回は根本的に違います。飛行前のパイロット紹介から離陸、演技、そして着陸まで、全て予定調和的にデザインされ、あらかじめ練りに練った音楽とMCによって彩られました。この革命的進展は、エアロックで昔MCを担当されていた岩崎麻衣さんに指導いただき、演出やMCを全て担当いただいたことによって可能となりました。パワー機の余裕を持った演技とは異なる、グライダーの臨機応変な特性をどうやって岩崎さんのメソッドに組み込んだらよいのか・・・たくさん議論を重ね、前日まで試行錯誤の連続でした。パイロットとしても、刻一刻と変化する気象条件の中、どうすれば打ち合わせ通り飛行することができるのか・・・競技フライトにも匹敵する重圧を感じました。いつものエアショーでは、皆から見えるところを飛んで安全に着陸すればよい、という原則を元に、気楽に飛んでいました。実力の3割程度で飛んでいた感覚です。エアショーでは精神面の余裕をとるため、実力の7割以下で飛行するのが良いと言われています。今回のショーでは、7割フルに使いきりました。なんとか上手く計画どおりのショーを行なうことができて、良い前例となりました。次回以降、見る側をしっかり意識したショーを作っていくための大きな布石となりました。
ーーーーーーー 

今回の演目で一番受けの良かったものがこれ。
なんと呼んだらいいのか・・・タンブル?ラムシェバック??


まず垂直上昇しながらポジティブスナップロールに入れて開始します。これにより重心のフライトパスから機首と尾部が外れた状態での回転運動が得られるのですが、この回転に急減速が伴うため、おそらく遠心力により機首と尾部が回転の外側に引っ張られて機体がコマのように回転を始めます(一回転目)。2回転目では、その回転を維持したまま落下に転じるため背面フラっとスピンに移行したように見えますが、実際は慣性で回っているだけです。落下することによりだんだん速度が付いてくるので、停止前90度くらいからは背面スピンの空力に移行しています。

ーーーーーーー 

今回は、演技全体を撮影してyoutubeにアップロードしてくれた方がたくさんいます。

まず航空カメラマンの布留川さんの素晴らしい編集動画。一発目のフライトで、打ち合わせも無しに、これだけの動画を撮るというところにプロの技を感じます。

一般の方撮影の動画。お客さんの反応がわかって嬉しい。



トライアルのトップライダーかつモーターパラカメラマンという魅力的なおじさん、村岡ジッタさんもリハーサルから撮影してくれました。今回は旅人の青山直子さんに公式カメラマンをお願いしたのですが、私自信の知識の至らないところもあり、こちらも村岡さんにご指導いただきました。

RED FOX 2013 11 22 空まつり前日予行
http://www.youtube.com/watch?v=_L0wDNVkc9o
RED FOX2013 11 23空まつり本番
http://www.youtube.com/watch?v=XFzeCjkJsd0
ーーーーー

みんなの努力が身を結び、とにかく上手くいってよかったと心底思えるイベントでした。

10年ほど前、私はこの場所でロック岩崎さんの最後のエアショーを見ました。グライダーの訓練を始めて数ヶ月といった時期だったと思います。自由自在に飛び回るロック岩崎さんの姿を見て、アクロをやりたいという非常に強い思いが私の心に根をおろした瞬間をはっきりと覚えています。そんな私が今こうやって、岩崎麻衣さんと一緒にエアショーを演出し、頑張って飛び終えたその意味は、かつての私のような人を発掘すること、人の心に欲望を喚起すること。このイベントを見てくれた人の心の中に空への欲望が少しでも芽吹いてくれていたら・・・